リオデジャネイロにて。
毎週水曜日はチジュカ国立公園でボランティアをしていた。
その日はスケジュールを間違えたのか、いつものメンバーは誰も来ず、集合場所には私一人だった。
しばらくして待つのをやめて歩き始めた。
数日前に知った、滝のある場所を目指した。
滝には誰もいなかった。
川の中のゴロゴロした岩の一つに座った。何もせず時間が過ぎて行った。
ぼーっとしている内に焦点をぼかす遊びが面白くなった。
周囲は、葉っぱの緑と木漏れ日の、光る点描のような世界になった。
チラチラする緑と光の点に囲まれ、溶け込んでいるうちに、点々の中にカメレオンっぽい形が見えた。
ゆらゆら光る、ちぎり絵のようで、曖昧なカメレオン。
ふいに、中学時代のクラスメートが「カメレオンみたいやね」と私に言った言葉が耳の奥で聞こえた。
変化 – 変容 – 変幻自在
私はリオデジャネイロの活気とランドスケープに魅了され、家探しを始めていた。
けれど、今はまだ止まる時ではないと知った。
カメレオンはこの旅のシンボルになった。
滝の日の数日前、カリオカ(リオの地元民。「関西人」みたいな意味)に教えてもらった展覧会に行った。そこで見た陶芸作品のいくつかに強く心を惹かれた。キャプションを見ると、どうやらある地方の谷に作り手が集中しているようだった。私はそこを目指すことにした。