アートからの始まり
昭和の昔、ある町の角に「かどや」という名のパンやたばこなどを売る小さい店がありました。 月日が流れ、空き家になったそこに私が引っ越してきました。
当時、私は写真・映像を用いたインスタレーションアートを主にした活動していました。アートと日常の隔たりへの疑問が強まっていた頃、いつもと違う道を通ったところ、店舗付きの空き家を見つけました。そこで「KADOYA工房」という名前の、誰でも気軽に立ち寄れるギャラリーを兼ねたアトリエ兼、雑貨屋を始めました。
KADOYAでの日常
国内外のインテリア、キッチン用品、衣類、骨董品、手工芸品などが並び、私や友人、近所の子どもたちが作った作品の制作過程も見ることができました。
KADOYAはすぐに近所の人々、特に子どもたちが集まる場所となり、感謝の気持ちを込めて夏祭りを開催しました(ルームメイトや友人の協力で出した屋台が好評でした)。夏祭り後も休憩できるようにソフトドリンクを販売するようになりました。
近所の子どもたちはほぼ毎日訪れ、大人もゆっくり滞在することが多かったので、後に屋根裏を改築して秘密基地を作りました。大人でも子どもでも、一人になりたいときに誰でも使えるスペースです。
その後、居住スペースの空き部屋を利用してゲストハウスも始めました。KADOYAは旅人が戻ってくる場所、近所の人々が集まる場所、そして旅人と住民、近隣の飲食店との交流が生まれる場となりました。
旅立ちと創作の日々
約10年後、当時取り組んでいた彫刻を外国で完成させる機会を得て、実店舗KADOYAを閉めました。聞くところによると、今はそこに新しい住人が引っ越してきて、地元の人々に愛される素敵なお店を営んでいるそうです。
私の旅は思ったより長引き、現在も続いています。訪れた先々で、職人や工房などを探し、ご縁が見つかるとしばらくその町に住み制作させてもらったりしました。定住したかと思えば移動し、さまざまな場所で出会いと別れを繰り返す中で、渡り蝶のような存在として何ができるかを考えるようになりました。
過去に出会った人々や、一時的に道が交差するかもしれない未来の人々に、手紙のようなものを書けたらと思い、このサイトを作りました。
作って来たものや、出会いの物語を、このウェブサイトを通じて共有して行けたらと思います。
近年、私はいくつかの創作人格を通した活動もはじめました コチラ